労働問題に関するQ&A
解雇については、労働契約法16条が「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めており、前提として相談者に転勤の義務はあるか、また転勤を断ったことが解雇事由である職務命令違反にあたるかが問題になります。
まず、正社員については、職務内容や勤務地を限定せずに採用されるのが通常であり、企業内での能力開発や労働力の補充等のため、頻繁に転勤が行われています。そのため、就業規則等にも「業務の都合により、転勤を命じることがある」と定められているのが一般的です。
そのため、就職の際に、職種や勤務地を限定する合意をした場合等の特別の事情がなければ、会社側には、原則として正社員に対して転勤を命じる根拠があるのことになります。
もっとも、転勤には労働者の負担を伴うことが多いため、企業の転勤命令権は濫用されてはならず、転勤に業務上の必要性があっても、その必要性に比して、本人の職業上、生活上の不利益が大きい場合には、転勤命令は権限濫用として無効とされています。
裁判例でも、東京本社から地方支社への転勤命令を、労働者の家族が病気中でその介護をしており、かつ、家計を支えていること、他方で転勤が当該労働者でなくほかの者では替えられないとまでは認められないことを理由に、権限濫用として無効とした例があります。
今回のケースも、親の介護が必要ということですので、その他の事情によっては転勤命令が無効であり、不当解雇にあたる場合があります。
残業代請求には時効があります!まずはご相談を!
\電話受付:朝9時~夜10時・土日祝もOK/