監修者情報
- 資格
- 弁護士
- 所属
- 東京弁護士会
- 出身大学
- 青山学院大学法学部,専修大学法科大学院
弁護士の仕事は,法的紛争を解決に導くことだけでなく,依頼者の方の不安や悩みを解消することにもあると考えています。些細なことでも不安や悩みをお持ちであれば,気軽に弁護士に相談していただけたらと思います。依頼者の方にご満足いただけるリーガル・サービスを提供していけるよう全力で取り組んでいく所存です。
残業代請求コラム
公開日: 更新日:
休日出勤して働いたのにその分手当をもらえなければ、「これって法律的にアウトじゃないの?」と不満や疑問に思いますよね。ですが、その答えは、「法定休日」と「法定外休日」のどちらに労務を提供したかなど、状況によって異なるのです。
このコラムでは、「どんな場合に休日労働の手当が支払われるべきなの?」という疑問に、休日労働手当が発生するケースと発生しないケースを挙げてお答えします。また、支払われるべき手当をもらえていない場合、未払いの休日労働手当を請求できるのかについても、解説しています。
一般的に、休日労働とは、就労義務のない休日に労務を提供することをいいますが、法律上の休日労働は少し違います。休日には、「法定休日」と「法定外休日」の2種類があり、法定休日に労務を提供すると休日手当が出ますが、法定外休日に労務を提供しても休日手当は支払われません。
まずは、「法定休日」と「法定外休日」の概念について見ていきましょう。
休日には、「法定休日」と「法定外休日」の2種類があります。
労働基準法上、使用者は、毎週少なくとも1日の休日(第35条1項)、4週間を通し4日以上の休日(第35条2項)、を労働者に与えなければなりません。このように、法律上与えなければならない休日を「法定休日」といいます。日本では、週休2日制が多く、そのうち1日は、休ませなければならない「法定休日」ですが、もう1日は法律上休ませなくてもいい「法定外休日」にあたります。
労働基準法上、労働時間は1日8時間、週に40時間までと決まっているため、1日8時間労働×5日で、週休2日制(法定休日と法定外休日)とされることが多いです。
しかし、たとえば、1日7時間労働×5日、もう1日は5時間労働で、週休1日制(法定休日のみ)とする場合も、労働時間は週40時間以内になり、週に1日の休日を与えているので、法律上問題ありません。
休日労働の「手当」は、一般的に、休日出勤し労働したとき通常の賃金に加えて支払われる「割増賃金」のことをいいます。割増賃金の支払いは、「法定休日」と「法定外休日」で異なり、それぞれどのように定められているか、以下で解説していきます。
なお、週休2日制の場合の、法定休日と法定外休日については労働契約や就業規則で定められています。
法定休日とされている日に労務提供をした場合、通常の賃金に加え、35%以上の割増賃金が支払われるということになります。たとえば、1日労務を提供すると1万円を受け取れる人の場合には、法定休日出労働1日分については、1万3,500円以上の賃金をもらえるということになります。
法定外休日とされている日に労務提供をした場合、35%の割増賃金は支払われませんが、通常の賃金が支払われることになります。たとえば、1日労務を提供すると1万円を受け取れる人の場合には、通常どおり、1万円の賃金をもらえるということになります。
以上のように、法定休日に労務提供したのに、割増賃金が支払われない場合には、違法といえるでしょう。しかし、法定「外」休日に労務を提供した場合には、休日出勤の割増率での支給をしなくても違法とはいえません。ただし、法定「外」休日であっても、通常どおりの賃金は支払われる必要があります。
このように、休日出勤したとしても、手当として割増賃金が支払われるべき場合と、そうではない場合があるのです。以下では、具体的なケースを挙げて解説していきます。
まずは、休日労働手当として割増賃金が発生するケースについて見ていきたいと思います。
上記で説明したように、法定休日に労務を提供した場合、通常の賃金に加え、35%増しの割増賃金が支給されます。
法定休日に労務を提供し、その代償として以後の労働日を代わりに休日とした場合(いわゆる代休の取得)、法定休日に労務を提供したということになります。つまり、通常の賃金に加え、35%以上の割増賃金が支給されなければなりません。
代休と似ているものとして振替休日がありますが、これはあらかじめ決められた休日を出勤日とし、あらかじめ決められた労働日が休日となるものです。この場合、休日労働に対する割増賃金は支給されません。
次に、休日労働手当として割増賃金が発生しないケースについて見ていきましょう。
上記で説明したように、法定外休日に労務を提供したとしても、35%以上の割増賃金は支給されません。ただし、通常の賃金部分は支給されることになります。
なお、法定外休日の労務提供が、週40時間を超えている場合、その分は時間外労働をしていることになるので、通常の賃金の25%以上の割増賃金が支給されることになります。
労働基準法上の管理監督者に該当する場合には、割増賃金は発生しません。管理監督者とは、労働条件の決定やその他労務管理について、経営者と一体的な立場にある従業員のことをいいます。会社内で管理職となっていても、必ずしも労働基準法上の管理監督者に該当するわけではないので、注意が必要です。管理監督者に該当する要件について、詳しくは下記のコラムをご覧ください。
これまで解説してきたように、休日労働で発生する割増賃金はきちんと支払われなければなりません。
会社に請求するためには、以下のような方法がありますので、参考にしてみてください。
まず、自身で直接会社と交渉することが挙げられます。しかし、会社が必要な資料を出してくれるかわかりませんし、仮に資料を出してくれたとしても、それを読み解くのは難しいでしょう。たとえば、就業規則や賃金規程など、労働時間を把握する資料を読み解くのは大変です。
また、未払い割増賃金の金額を計算するのも一苦労だと思います。未払い割増賃金を請求としたとしても、会社に対して自身で交渉するのは、精神的にも辛いかもしれません。このように、ご自身で対応すると、負担も大きく、うまくいかないことも多いでしょう。
次に、弁護士に依頼する方法があります。法律の専門家である弁護士に任せてしまえば、負担が少なく、精神的にも楽かと思います。未払い割増賃金の請求を取り扱った経験のある弁護士であれば、スムーズに対応してくれるはずです。会社への資料開示や、計算作業、交渉などもスムーズに対応してくれます。さらに、会社が未払い賃金を支払わないと言ってきた場合には、労働審判手続や訴訟手続についても対応してもらえるしょう(契約内容によります)。
いかがでしたでしょうか。休日労働の手当である「割増賃金」は、発生する場合と発生しない場合があります。そのため、休日出勤して働いた場合に手当をもらえなかったとしても、ただちに違法とはいえません。
しかし、休日労働に対する割増賃金が発生しているにもかかわらず、適切に支給されていない場合には、未払い割増賃金を請求できる可能性があります。
未払い割増賃金を請求するには、自身で直接会社と交渉するより、弁護士に相談するのがよいでしょう。賃金の計算や、会社との交渉などをあなたに代わって円滑に対応してもらえます。未払い割増賃金の請求を検討されているなら、お気軽にご相談ください。
弁護士の仕事は,法的紛争を解決に導くことだけでなく,依頼者の方の不安や悩みを解消することにもあると考えています。些細なことでも不安や悩みをお持ちであれば,気軽に弁護士に相談していただけたらと思います。依頼者の方にご満足いただけるリーガル・サービスを提供していけるよう全力で取り組んでいく所存です。
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