弁護士に未払い残業代の請求を依頼した場合、請求額の全額を回収することはできますか？

弁護士は、依頼者の方の未払い残業代が全額回収できるように精一杯努力しますが、実際に全額を回収できるかどうかは、残業した証拠をどの程度集められるかや、どのような争点がありその争点がどのような見通しになるかに左右されます。

なぜなら、残業代を請求するには「実際に何時から何時まで働いて残業をした」ということを証明する必要があり、その証明は残業代を請求する側が行わなければならないとされているからです。

未払い残業代の請求を行う際には、残業代をしたという客観的な資料を集めておくことが必要です。その代表例は、日々の勤怠を記録するタイムカードです。お手元にタイムカードの現物があることはまれであると思いますので、残業代を請求しようと思ったときには、まずタイムカード等のコピーをすることから始める必要があります。もし、タイムカード等がない場合には、パソコンの起動時間を記録しておくのもよいでしょう。

また、仮に残業時間が証明できても、たとえば「支払われている給料のなかに残業代が含まれている」といった反論がなされることがよくあります。残業代請求では通常、労働時間以外にもこのような争点があり、その争点の見通しを踏まえて相互に譲歩しながら解決に向かうことが多いため、一般的に全額を回収できることはそれほど多くありません。