監修者情報
- 資格
- 弁護士、医師
- 所属
- 東京弁護士会
- 出身大学
- 京都大学医学部
「しんどいのに声を上げられない」、「自分一人の力ではどうにもできない」。そんな立場にある人に法的な援助をしたいと考え、私は弁護士になりました。あなたの悩みは、法律で解決できるかもしれません。当事務所は敷居が低く、相談をお考えの方にとって身近な法律事務所であることが自慢です。あなたの悩みを解決するために、まずはお気軽にお声がけください。
残業代請求コラム
公開日: 更新日:
「業務の準備をするための早朝出勤。この時間の給料は出ないの?」
このような疑問や不満を抱えている方も多いのではないでしょうか。本来の始業時間までの時間も、労働時間であることが認められれば給料は発生します。このコラムでは、始業時間までの時間にも給料が発生する可能性のある具体的なケースを紹介し、支払われるべき始業時間までの給料が未払いとなっている場合の対処法について、解説します。ぜひ、最後までご覧ください。
所定の勤務時間よりも前に出勤した場合、出勤後から始業時間までの時間が労働時間にあたると判断されれば、始業時間までの労働時間について、給料は発生します。
では、労働時間にあたるかどうかは、どのように判断されるのでしょうか。労働時間の判断基準について見ていきましょう。
労働時間とは、裁判所によれば、「労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まる」とされています。
労働者が使用者の指揮命令下に置かれているかどうかは、具体的に以下を考慮して判断されます。
そして、裁判所が「客観的に定まる」としているように、社内ルールや会社による勤怠管理の方法とは関係なく、労働時間にあたるかどうかを判断します。
たとえば、「通勤時の混雑を避けるため」や「遅刻しないため」など、労働者が自らの意思で早朝に出勤した場合、会社が始業前の出勤を要求していません。つまり、②の「使用者による義務づけ」がないため、このような場合は、始業前の時間は労働時間とみなされません。
また、明確に指示されたわけではなくても、「上司より遅く出勤して叱責されたことがあったから、上司より早く出勤せざるを得ない」という場合もあるかもしれません。このケースでは、職場内の暗黙のルールで、上司より早く出勤することを使用者から義務づけられていたといえなくもないでしょう。しかし、始業までの時間が労働時間といえるためには、早く出勤して行った仕事について、①の「業務との関連性」が必要となることが多いです。
では、早朝出勤をしたとき、どのようなケースであれば始業時間までの給料が発生するのでしょうか。具体例とともに、解説いたします。
労働者が、明確に会社からの指示があって、始業前に出勤した場合は、労働時間とみなされます。たとえば、以下のようなケースです。
このように、会社からの具体的な指示を受けて始業前に出勤した場合、少なくとも、会社からこれらを行うように指示されていた時間から労働時間とみなされます。
始業前に出勤するように会社からの明確な指示がなくても、業務との関連性が強く、始業前に出勤することが事実上義務づけられている場合は、労働時間とみなされやすいです。たとえば、以下のようなケースが挙げられます。
このようなケースでは、これらに参加しないと業務に支障が出るため、会社からの明確な指示がなくても、出勤が事実上義務づけられているといえます。
始業前に出勤するように会社からの明確な指示がなくても、始業前に業務の準備行為をしなければならない場合、原則として労働時間とみなされます。たとえば、以下のようなケースです。
このようなケースでは、始業前に業務上必要な準備をすることが義務づけられていたといえます。そのため、準備行為に通常必要とされる時間は、原則として労働時間とみなされます。
会社からの明確な指示がなくても、業務量が多すぎて、早朝出勤しないと業務が終わらない場合も、始業前に仕事をした時間が労働時間とみなされることがあります。
たとえば、会社が「居残り残業は20時まで」などと制限しているにもかかわらず、20時までに終わるように業務量を調整してくれず、始業前に出勤して仕事をしないと20時までに業務が終わらないことが明らかであり、かつ翌日に仕事を持ち越せないケースなどが挙げられます。実質的にみて始業前の仕事は会社の指示によるものといえますので、その時間は労働時間とみなされるでしょう。
始業前の出勤が労働時間に該当すれば、勤務時間外の労働(残業)をしたわけですから、その時間分の給料は支払われるべきです。
しかし、始業前の労働に対する給料は、カットされていることがよくあります。そこで、始業前の労働に対し給料が支払われていない場合の対処法について解説していきます。
労働監督基準署は、会社が労働関係の法律をきちんと守っているかチェックし、違反がある場合は会社に法律を守ってもらうための適切な措置をとる行政機関です。
そのため、労働監督基準署に、会社の違反行為について相談すれば、調査したうえで是正勧告や改善を求める行政指導をしてくれる場合があります。しかし、会社と労働者間の紛争について仲裁や、個々の労働者のための残業代請求までは行ってくれません。
未払いの残業代は会社に請求することができますが、自分で会社に残業代を請求しても、多くの場合は相手にされず、裁判をするしかないことが多いです。
しかし、残業代請求には法的知識や煩雑な手続などが必要なので、個人で裁判をすることはとても難しいです。そこで、請求に関する交渉や、裁判になったとしても対応できる弁護士に相談し、残業代を請求するのがよいでしょう。
会社は、弁護士から請求を受けた場合、労働者が本気で請求をしてきていると考え、裁判まで行かずにきちんと対応してくれることが多くなります。
これまで解説してきたように、「早朝出勤をして仕事しているのにもかかわらず、始業時間からしか給料が出ていない」という場合は、残業代が未払いとなっている可能性があります。
早朝出勤について、会社から明確な指示がある場合はもちろん、指示がなくとも、業務の必要性から早朝出勤せざるを得ない場合は、始業前でも労働時間とみなされることがあります。そして、労働時間とみなされた場合の残業代を含めて、給料はきちんと支払われるべきです。
そのため、残業代の未払いに心当たりがあれば、会社に真摯に対応してもらうためにも、まずは弁護士にご相談いただきたいと思います。アディーレでは、残業代請求に関するご相談は何度でも無料ですので、お気軽にご相談ください。
「しんどいのに声を上げられない」、「自分一人の力ではどうにもできない」。そんな立場にある人に法的な援助をしたいと考え、私は弁護士になりました。あなたの悩みは、法律で解決できるかもしれません。当事務所は敷居が低く、相談をお考えの方にとって身近な法律事務所であることが自慢です。あなたの悩みを解決するために、まずはお気軽にお声がけください。
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