労働問題に関するQ&A
懲戒解雇をするためには、懲戒の根拠となる就業規則等の規定が必要であり、解雇権の濫用(労働契約法15条、16条)にあたらないことが必要です。
会社では、就業規則等で「私生活上においても会社に不利益な行動を取らない」という誠実義務を定めていることが多く、職場外や勤務時間外での行動においても、会社に対して誠実に配慮する義務を負っています。この規定が、誠実義務違反を理由とする懲戒権行使の根拠となります。
今回のケースのように、ブログで実名をあげて会社の上司の批判した場合、その内容が事実を歪曲し、かつ、表現が誹謗中傷にあたるものであれば、会社に対する誠実義務違反として懲戒事由になる可能性があります。
もっとも、裁判例によると、職場環境が悪いとして上司や会社を批判し、その態様や程度が誹謗中傷に至った場合でも、その目的が会社の業務の改善を図るためであり、労働者が反省の態度を見せている場合や、また労働基準監督署に相談に行っており、最終的に会社側が労働基準監督署の指導を受けることになったなどの事情がある場合に、解雇を有効とするに足りる客観的理由や、社会的な相当性までは認められないとして、解雇権濫用を認め、解雇を無効とした例があります。
そのため、今回のケースでも、ブログでの批判の内容や、その後の労働者の態度等の事情によって解雇が無効になる可能性があります。
このように、懲戒解雇にはさまざまな要件が必要とされるため、自身の行為が原因で懲戒解雇を言い渡された場合でも、安易に受け入れず、まずは法律の専門家である弁護士に相談することが重要です。
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