監修者情報
- 資格
- 弁護士、医師
- 所属
- 東京弁護士会
- 出身大学
- 京都大学医学部
「しんどいのに声を上げられない」、「自分一人の力ではどうにもできない」。そんな立場にある人に法的な援助をしたいと考え、私は弁護士になりました。あなたの悩みは、法律で解決できるかもしれません。当事務所は敷居が低く、相談をお考えの方にとって身近な法律事務所であることが自慢です。あなたの悩みを解決するために、まずはお気軽にお声がけください。
残業代請求コラム
公開日:
「最近、『違法残業』って言葉を聞くけど、どんな残業が違法なんだろう?」
「もしかして、うちの会社も違法残業なのでは…?」
このような疑問をお持ちの方はいらっしゃいませんか?
今回のコラムでは、「どんな残業が違法になるのか?」を解説するとともに、違法残業かどうかを判断するチェックポイントや、違法残業の具体的な対処法について紹介します。
会社が残業について誤った理解をしているときもあれば、なかには故意に違法残業をさせているケースもあります。
「違法かどうか」を見分ける1つの判断基準として、ぜひ本コラムをご活用ください。
労働基準法では、原則として「労働は1日8時間、週40時間まで」と定められています。それにもかかわらず、実際は会社がこの制限を超える残業をさせていることがよくあります。
違法な残業と適法の残業の違いは、「この原則を緩めるための条件を会社が守っているかどうか」です。
そしてその条件は、下記のとおり大きく2種類に分かれます。
①の代表例は36協定ですが、ほかにも、管理監督者や裁量労働制などが該当します。
②は、時間外労働や法定休日労働などの割増賃金(いわゆる残業代)の支払義務のことです。固定残業代として支払われている場合には、適切な金額が支払われているかどうかという問題もあります。
重要なことは、会社は①と②の両方の条件を守る必要があることです。
なかには、そもそも①の36協定がないにもかかわらず、週休1日で労働をさせて違法残業をさせている会社があります。また①の36協定があっても、②の残業代を支払っていなかったために、違法な残業をさせている場合もあるでしょう。
では、ご説明した2つの条件を、あなたの会社は守っているでしょうか?実際に確認してみましょう。
まず、いわゆる36協定が守られているかどうかを確認しましょう。原則として、36協定では時間外労働(残業)は月45時間・年360時間までの範囲で収めないといけません。あなたの実際の残業時間は、この範囲内に収まっているでしょうか。
ただし36協定には、原則となる時間の上限を超えて残業や休日労働を命じることのできる「特別条項」があるなど、残業時間が月45時間・年360時間を超えたからといって、違法とはならない場合もあります。この点については以下のコラムで詳しく解説していますので、併せてご確認ください。
次に、残業代が支払われているかどうかです。36協定があるからといって、その範囲内であれば残業代を支払わなくてもいいというわけではありません。
簡単なチェック方法をご紹介しましょう。あくまでも概算になりますので、細かい部分の説明は割愛しています。
同じような金額が実際に支給されているかどうか、ぜひ確認してみてください。
このほかにも、「固定残業代制」や「裁量労働制」で働いている方は、別のチェックすべきポイントがありますので、以下で詳しく解説していきます。
会社によっては、残業代を固定で支払っているところがあります。
まず、固定で支払われている金額がわからなければ、固定での残業代の支払いが認められない可能性が高いです。固定で支払われている金額がわかる場合であっても、月45時間を超えている場合は、固定での残業代の支払いが認められない可能性があります。
さらに、会社は、その金額相当分の時間数を超えて残業をさせた場合には、不足分の残業代を支払わなければいけません。
なお、先ほど「【働き方別】違法残業チェックポイント」でご紹介した方法で残業代を計算する場合は、固定残業代の金額を時給計算の際に考慮しないように注意しましょう。
会社によっては、「管理職だから残業代はない」などと言ってくることがあります。
確かに、会社の経営陣にいるような立場の労働者は、労働基準法の管理監督者に該当し、残業時間の制限がなく、深夜割増を除いては残業代を支給しなくてもよい場合もあります。つまり、「“違法な”残業と適法の残業…違いは何?」でご説明した①と②の条件を、会社は一挙にクリアしていることになるのです。
そのため、会社は「〇〇マネージャー」や「〇〇室室長」のような肩書きを与えて、管理職として残業代を支給せずに長時間働かせようとすることがよくあります。
しかし、労働基準法の管理監督者に該当するかどうかは、肩書きで決まるものではありません。仕事の内容、働き方、給料体系を考慮して、経営者と同じような立場にあるかどうかで決まります。
もしあなたが、名ばかりの管理職や中間管理職であるにもかかわらず、残業代なしで残業をさせられている場合、違法である可能性があります。
管理職と管理監督者の違いについて、詳しくは以下のコラムで解説していますので、併せてご覧ください。
研究開発者、システムエンジニア、記者・編集者、デザイナーなど、19種類の対象業務にあたる場合には、会社が裁量労働制を採用していることがあります。
裁量労働制が採用されて、法律的な要件をクリアしていれば、実際に何時間働いたとしても、定められた時間数の労働をしたものとみなされます。そのため、その時間数分の残業代が出ている限り、残業をいくらしても違法になりません。
ただし、裁量労働制にはさまざまな要件があり、会社が採用したつもりになっているだけで、実際の残業時間分の残業代が支払わなければならない場合もあります。
裁量労働制が有効となる条件などについて、詳しくは以下のコラムで解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
ご紹介したチェックポイントをご覧になって、思い当たる節がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もし自分の行っている残業の状態が「違法残業」に当てはまっている場合、これからご説明する対処法を実践してみてください。
なお、「人事部などに相談して、違法性を訴える」という方法は、一見正論のように思えますが、大きなリスクがあります。
そもそも違法な残業をさせている会社に訴えたところで、その会社がきちんと対応してくれるでしょうか。上場企業のように、第三者のチェックが入る場合は、きちんとした対応がなされる可能性もあります。しかし、そうでない大多数の会社においては、きちんと対応してくれないばかりか、パワハラや退職勧奨をされる危険があります。たとえ対応してくれたとしても、会社からは厄介者扱いされる可能性もありますので、慎重に行うべきでしょう。
『労働条件相談ほっとライン』は厚労省の委託事業で行われている、無料の電話相談窓口です。
労働監督基準署が閉庁している平日夜間・土日・祝日にも電話受付が行われているので、利便性が高く、匿名でも相談できます。
ただし、『労働条件相談ほっとライン』には会社に行政指導をする権限がありません。必要に応じて、労働監督基準署など関係各機関を紹介してくれますが、残業代を労働者の代わりに請求し、回収してくれることはないのです。
そのため、会社が「1日8時間、週40時間などの制限を超えた残業を可能にするための条件(36協定など)」を整えていない場合には、効果が見込めるかもしれませんが、残業代を支払ってくれていない場合には、あまり有効とはいえません。
労働監督基準署は、労働基準関係法令を所管する行政機関です。相談は無料で、匿名での相談も可能です。窓口取扱時間は、月~金の平日の日中に限られます。
事情を説明し、会社に違法行為があると認めてもらえれば、会社に対して行政指導や処罰をしてもらえることがあります。
ただし、こちらの方法も残業代の請求に関しては、ほとんど期待できません。また、信頼できる証拠によって会社の違法行為が十分に証明できないことには、すぐには動いてくれないことがあります。
さらに、会社と労働者の間で残業時間などに争いがある場合は、労働審判や裁判での解決をすすめられて、労働監督基準署が判断してくれない可能性もあります。
弁護士には、労働基準監督署のように、会社に対して行政指導をしたり処罰したりする権限はありません。
しかし、違法な残業をさせられている労働者の依頼を受け、会社に未払い残業代を請求できます。
弁護士への相談は、労働監督基準署への相談と同時並行で行うことができます。また労働監督基準署に相手にされなかった場合でも、弁護士に依頼をして、法的手段をとってもらうこともできます。
なかには、「違法な残業をさせられていた証拠がなくて、労働監督基準署に動いてもらえなかった…」というケースもあるでしょう。その場合、残業をしたという証拠が残ってさえいれば、弁護士が直接交渉する、または裁判手続を行うことにより、会社に証拠の開示を求めることもできます。
先ほどご紹介した2つの対処法とは異なり、「残業を可能にするための条件(36協定など)」を整えていないだけの場合には、それほど大きな期待はできません。しかし、残業代を支払ってくれていない場合には、もっとも有効な方法の一つです。
なお、弁護士に依頼する場合、「弁護士費用だけ先に支払ったけど、残業代が獲得できなくて損をしただけ…」、というケースもまれにあります。費用について、ご依頼前にしっかり確認することはもちろん、成果が出た段階でお金を支払う「成功報酬制」を採用している事務所に依頼することをおすすめします。
会社が労働者を残業させるためには、解説してきたように「①残業を可能にするための条件」と「②残業代を支払うという条件」の両方を満たさなければなりません。この2つのチェックポイントを参考に、ぜひご自身の残業が違法かどうかを確認してみてください。
違法である理由が①と②のどちらにあるのかによって、労働監督基準署などに相談すべきか、弁護士に相談すべきかが変わってきます。そして、残業代が支払われずに違法な残業をさせられている場合には、労働監督基準署よりも弁護士に相談するほうが有効なケースが多いでしょう。
とはいえ、「弁護士に依頼すると、費用が高くつきそう…」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
アディーレでは、着手金や相談料が無料です。また成功報酬制を採用しておりますので、残業代を無事に獲得できた場合に、初めて費用が発生します。仮に獲得できた残業代が、弁護士費用を下回った場合は、差額分の費用はいただかない「損はさせない保証」もご用意しております。残業代が支払われていないとお悩みの方は、ぜひ一度お問合せください。
「しんどいのに声を上げられない」、「自分一人の力ではどうにもできない」。そんな立場にある人に法的な援助をしたいと考え、私は弁護士になりました。あなたの悩みは、法律で解決できるかもしれません。当事務所は敷居が低く、相談をお考えの方にとって身近な法律事務所であることが自慢です。あなたの悩みを解決するために、まずはお気軽にお声がけください。
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