残業代請求コラム

  • TOP
  • 残業代請求コラム
  • SE(システムエンジニア)が残業代を請求する際に注意すべき3つのポイント

SE(システムエンジニア)が残業代を請求する際に注意すべき3つのポイント

公開日:

システムエンジニア(以下、「SE」とします)は、職務の性質上、残業が多くなる傾向があります。その理由としては、さまざまなものが挙げられますが、たとえば下記のようなものです。

「納期に間に合わせるには残業をせざるをえない…」
「そもそも、納期が残業をすることを前提に設定されているとしか思えない…」
「クライアントが急に仕様変更を指示してきて、残業して対応しないと…」
「仕事を家に持って帰ってやらないととても終わらない…」

しかし、上記のような理由でSEの方が残業をしても、会社はいろいろな理由をつけて残業代を支払ってくれないことがあります。
そこで、本コラムでは、SEが残業代請求について知っておくべきポイントを解説したいと思います。

今回の記事でわかること
  • SEが残業代請求できるのはどのような場合か
  • 労働契約と業務委託の違い
  • テレワークという状況で残業代請求する場合の注意点
  • 固定残業代とはどのような制度か
目次
  1. SE(システムエンジニア)は労働者か業務委託か
    1. まずは契約書を確認しましょう
    2. 「労働者である」と判断されるのに必要な条件とは?
  2. テレワークと残業代請求
    1. 残業代請求する場合に問題になりやすい点とは?
    2. 残業代を請求するためにどのような証拠を残しておくべきか
  3. 固定残業代と残業代請求
    1. 固定残業代の内容を確認しておきましょう
  4. まとめ

SE(システムエンジニア)は労働者か業務委託か

労働契約もしくは業務委託で働いているSEの方のなかには、契約内容が曖昧である方や、ご自身がどちらの契約で働いているのかよくわからない方もいらっしゃると思います。そのような状況では、会社に残業代の話をしたとしても、会社から「あなたとの契約は業務委託であり、そもそも労働契約ではないので、残業代を支払う必要ない」と言われてしまうかもしれません。残業代請求は労働基準法に根拠があり、労働基準法は労働者に適用されます。労働者でない方には労働基準法の適用がなく、残業代請求できないということになります。

そこで、ここでは、“SEが労働者と判断されるのはどのような場合なのか”について、ポイントをご説明したいと思います。

まずは契約書を確認しましょう

まず、会社とあなたの契約が労働契約(雇用契約)なのか、業務委託契約なのか、契約書を確認してみてください。労働契約(雇用契約)ということであれば、あなたは労働者と判断されます。この場合、残業すればその分の残業代がもらえる可能性があります。

業務委託は、法的には「請負契約」となります。この契約は、「ある仕事を完成したら対価として報酬を支払う」というもので、何時間働いたかは関係ありません。たとえば、会社からAソフトウェアを作ることを依頼され、完成させたら報酬をもらえるといった契約をイメージしていただければわかりやすいと思います。この場合には、Aソフトウェアを完成させれば、その分の報酬が支払われますが、1時間でAソフトウェアを完成させても、10時間でAソフトウェア完成させても、報酬は同じ金額です。

「労働者である」と判断されるのに必要な条件とは?

では、会社とあなたの契約が請負契約とされている場合、残業代はもらえないのでしょうか。判例は、「契約の名目がなんであるかにかかわらず、実質的に労働者か否かを判断する」としており、実質的に労働者だと判断されれば、労働基準法が適用されて残業代がもらえる場合もあります。では、“労働者だと判断されるのはどのような場合なのか”のポイントを確認していきましょう。

労働者とは、①使用者の指揮監督下において労務の提供をする者であり、②労務に対する対価を支払われる者である、とされています。
判例では、①にあたるのかどうかを検討するにあたり、下記の4つの要素を考慮しています。

  • (A)仕事の依頼・業務上の指示などを断る自由の有無(断る自由がないなら「労働者」)
  • (B)業務を遂行するうえでの会社からの指揮監督の有無(自分の判断で業務遂行のやり方を決められないなら「労働者」)
  • (C)時間的場所的な拘束の有無(いつでもどこでも業務に従事してよいなら「業務委託))
  • (D)労務提供の代替可能性(当該業務を下請に出してもいいなら「業務委託」)

また、②にあたるかどうかを検討するにあたっては、下記の要素2つを考慮しています。

  • (E)報酬の額、計算方法、および支払いの形態
  • (F)源泉徴収の有無や保険料領収の有無

これらの諸要素を踏まえて、実質的に労働者にあたるかどうかを検討することになります。では、あなたの場合はどうでしょうか?

「実質的に労働者である」と判断された場合、労働基準法が適用されますので、残業をすればその分の残業代を支払ってもらえる可能性があります。

テレワークと残業代請求

昨今、猛威を振るう新型コロナウイルスに感染するリスクを下げるため、会社に通勤することを求めず、テレワークを導入している会社も多くなりつつあります。PCとネット環境があれば仕事ができるということで、テレワークで業務に従事しているSEの方も数多くいらっしゃるでしょう。そこで、テレワークにおける残業代請求のポイントを説明したいと思います。

残業代請求する場合に問題になりやすい点とは?

テレワークの場合には、会社にいないため、労働時間の把握が難しいという問題があります。残業は決められた労働時間を超えて、業務に従事しているということですので、何時間労働したのかは重要です。

会社での業務に従事している場合には、タイムカード等により労働時間の管理をされているため、労働時間の把握はしやすく、裁判所も労働時間を管理するために使用していた記録で労働時間を認めてくれることが多いです。

しかし、テレワークの場合には、会社の場合と違って、タイムカード等で労働時間を管理しているわけではないですし、Web打刻などしている場合でも、実際に労働していたのかどうか争いになるケースも多いです。Web打刻などをしていない場合は、さらに争いになります。

たとえば、テレワークの場所が自宅であれば、Web打刻などをして始業時刻と終業時刻の記録が残っていても、労働時間とそれ以外の時間の区別ができないので、会社からはWeb打刻していた始業時刻と終業時刻がすべて労働時間だとは認められないと反論されることもあります。また、そもそもWeb打刻などをしていなければ、労働時間が不明であり、残業しているどうかも不明であるとの反論があります。

もちろん、テレビ電話のような形で、打ち合わせなどをしている時間は、業務に従事しているとわかりますが。しかし、それ以外の時間は、食事や仮眠の時間にあてたり、本を読んだり、ゲームをしたりすることもできますから、実際に業務をしているのか、それとも私的活動をしているのかの区別は難しいことが多いです。

なお、残業代請求をする場合には、労働者のほうで労働時間を超えて業務に従事したことを主張・立証する必要があります。業務に従事していると立証できない場合には、残業したという主張は認められないことになります。

残業代を請求するためにどのような証拠を残しておくべきか

では、テレワークをしているSEとしては、残業代請求をするためには、どのような証拠を残しておけばいいでしょうか。

まず、パソコンで業務に従事していれば、パソコンのログイン・ログアウトの記録が残るはずです。そのため、パソコンのログイン・ログアウトの記録で業務時間を把握することが考えられます。ただ業務と関係のない動画を見るなど私的なパソコン使用もありえますので、ログインしてからログアウトするまでの間のすべての時間を労働にあてていたという主張は裁判所ではなかなか認められません。

その場合には、実際の成果物や作成・変更履歴を残しておくとよいでしょう。その時間について業務に従事していたことがわかりますし、裁判所も残業時間を認めてくれやすくなりますので、成果物や作成・変更履歴を残しておくと良いでしょう

固定残業代と残業代請求

固定残業代の内容を確認しておきましょう

固定残業代という制度についてご存じでしょうか?SEの方に限った話ではありませんが、労働者と会社との契約で、毎月何時間か残業するであろうことを見越して固定残業代制としていることがあります。
たとえば、「10時間分の残業代については、定額で5万を支給しますよ」というものです。会社としては、10時間以内の残業の場合、特に計算することなく5万円支給すればよく、事務手続上の手間が省けるというメリットがありますし、労働者としても2時間の残業でも固定残業代として5万円をもらえるというメリットがあります。

ただ、会社が、固定残業代を支払っていることを逆手にとり、何時間残業しても、「固定残業代で支払っているから、別途には支払わない」と言ってくることがあります。
その場合はまず、「固定残業代は何時間分の残業時間の分なのか」、「自分が何時間残業しているのか」、を確認してみることが大切です。そして、もし固定残業代として支払われている残業時間以上に残業している場合には、別途、残業代をもらえる可能性があります

まとめ

SEの方は、ほかの業種に比べ残業される方も多いと思います。もし、会社から言われたいろいろなことや、SEの業界はこういうものだという諦めの気持ちから、残業代請求を断念してしまっているとしたら、非常にもったいないことだと思います。残業代請求は労働した対価を請求する正当な権利です。少しでも気になることがあれば、残業代請求に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。

  • 現在アディーレでは、残業代請求を含む労働トラブルと、退職代行のみご相談・ご依頼をお引き受けしております。 残業代請求と退職代行に関するご相談は何度でも無料ですので、お気軽にお問合せください。

監修者情報

小野寺 智範
弁護士

小野寺 智範

おのでら とものり
資格
弁護士
所属
東京弁護士会
出身大学
青山学院大学法学部,専修大学法科大学院

弁護士の仕事は,法的紛争を解決に導くことだけでなく,依頼者の方の不安や悩みを解消することにもあると考えています。些細なことでも不安や悩みをお持ちであれば,気軽に弁護士に相談していただけたらと思います。依頼者の方にご満足いただけるリーガル・サービスを提供していけるよう全力で取り組んでいく所存です。

成功報酬制なので
初期費用もかかりません
お早めに一度ご相談ください!

残業代請求には時効があります!まずはご相談を!

free call
0120-610ロウドウ-241ツヨイ 9:00~22:00 土日祝日も受付中!
FREE
電話で無料相談する 9:00~22:00 土日祝日も受付中!

相談予約LINEからできます

\相談予約がLINEからできます/

24時間LINEで相談予約
free call
0120-610ロウドウ-241 ツヨイ 9:00~22:00 土日祝日も受付中!
LINEで相談予約 Webで相談予約

\電話受付:朝9時~夜10時・土日祝もOK/